採用で活用できる補助金・助成金とは?活用方法や採用を成功させるポイントも解説

採用で活用できる補助金・助成金とは?活用方法や採用を成功させるポイントも解説

採用活動費から、採用後の人件費まで、採用活動を通して多くの費用が発生します。中小企業の採用活動資金を確保するために検討したいのが、補助金や助成金です。採用活動への資金に悩む人のために、採用に関する補助金や助成金の活用方法や種類、申請方法を解説します。

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採用活動に活用できる補助金・助成金とは?

採用活動に活用できる補助金・助成金とは?

最初に助成金と補助金の違いを解説します。助成金、補助金ともに返済不要で受け取れるお金ですが、以下が異なります。

  • 助成金は要件を満たせばすべての企業が受給できる
  • 補助金は要件を満たしたあと、選考や審査に通過した企業のみが受給できる

なお2022年8月現在採用に活用できる給付金は、補助金はなく助成金のみです。そのため、要件さえ満たせばすべての企業や事業者が受給できます。ぜひ活用しましょう。

助成金の採用への活用方法

特定のシステムやツールを導入したら受けられるなど、使途が決まっている助成金を除き、経費補助以外なら使い道は自由です。採用に関連する助成金であれば、採用の範囲において自由に使えます。採用に関する助成金の具体的な活用方法の例を解説します。

採用活動への費用

採用活動費に助成金を活用するパターンです。用途が自由な助成金のほか、採用活動にかかった経費の一部が助成されるものもあります。採用広告や求人媒体への掲載費用、採用サイトの制作費用などの費用として、助成金を活用します。

従業員の正社員化

パートやアルバイト、有期契約などの非正規雇用の従業員の正社員化のための助成金があります。優秀な従業員はできるだけ長く働いてほしい、待遇を良くしたいなどの理由で正社員にしたいものの、人件費が高いなどの理由でできないことがあるでしょう。助成金を活用することで従業員を正社員にできるため、長期的な人材確保にも活用できます。

従業員のキャリア形成

職務に関する特定の知識や知識、技術の習得などの訓練や研修など、キャリアアップへの取り組みに対して支払われる助成金があります。従業員に技術や知識を取得させることで業務の質が上がるだけでなく、従業員のキャリア形成も実現します。

労働環境の整備

研修制度や評価制度、待遇、労働時間などを見直すことで労働環境の整備を目的とした助成金もあります。従業員が働きやすい労働環境が整えば、離職率の低下や採用ブランディングに有効です。

多様な従業員の雇い入れ

特定労働者(母子家庭や高齢者)の雇い入れで受けられる助成金や、時短やテレワークの導入など労働時間帯の新しい設定への助成金、仕事や育児・介護などの両立への取り組みへの助成金もあります。ライフスタイルに合わせて多様な働き方ができるため、属性にとらわれないさまざまな従業員が採用できるようになるでしょう。

採用に活用できる助成金の種類

採用に活用できる助成金の種類

2022年8月現在国(厚生労働省)から提供されている「雇用関係助成金」のなかから、採用に関するものをピックアップして紹介します。なお、助成金の詳細については以下の記事でくわしく解説しています。

社労士に助成金に関する相談や申請の代理を社労士に頼むべき?その費用感とメリット・デメリットを徹底解説!

労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)

労働者側に非のない形で離職をした労働者を早期に採用したときに受けられる助成金です。離職日の翌日から3か月以内に一般被保険者または高年齢被保険者として、かつ期限の定めのない労働者として採用すると支給されます。

中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)

中途採用率、45歳以上の方の初採用または情報公表・中途採用者数の拡大をはかった事業者に支給される助成金です。なお、この助成金の支給を受け「中途採用計画の計画期間初日が属する会計年度の前年度とその3年度後の生産性を比較し、3年度後の生産性が6%以上向上」の要件を満たすと、「生産性向上助成」も受給できます。

中途採用等支援助成金(UIJターンコース)

東京圏からの移住者を雇い入れると、中小企業なら採用活動に使用した経費の1/2(上限100万円まで)の助成が受けられます。

特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)

高年齢者や障害者、避難民などの就職困難者をハローワーク等の紹介により、継続して雇用する労働者(雇用保険の一般被保険者)として採用すると助成されます。助成金は40~240万円です。

特定求職者雇用開発助成金(生涯現役コース)

雇入れ日の満年齢が65歳以上の離職者をハローワーク等の紹介により、一年以上継続雇用を前提とした労働者(雇用保険の高年齢被保険者)として採用すると助成されます。短期労働者採用は50万円、短期労働者以外の採用なら70万円が受給可能です。

特定求職者雇用開発助成金(被災者雇用開発コース)

平成23年5月2日以降、以下の要件すべてを満たした労働者を採用すると助成されます。

  • 東日本大震災による被災離職者や被災地求職者
  • ハローワーク等の紹介で採用
  • 1週間の所定労働時間が20時間以上の労働者
  • 1年以上の継続雇用を前提とした採用

短期労働者は50万円、短期労働者以外は70万円が支給されます。この助成金の対象者を10人以上採用し、1年以上継続して雇用した場合には、60万円の助成金の上乗せ(1回のみ)が受けられます。

特定求職者雇用開発助成金(発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース)

発達障害者や難病患者をハローワーク等の紹介により、継続して雇用する労働者(一般被保険者)として採用すると助成されます。採用後、雇い入れをした従業員に対する配慮事項等の報告と、雇い入れから約半年後のハローワーク職員などによる職場訪問を受ける必要があります。助成額は中小企業の場合、短期労働者なら80万円、短期労働者以外なら120万円です。

特定求職者雇用開発助成金(就職氷河期世代安定雇用実現コース)

以下の要件をすべて満たす人を採用すると助成されます。

  • 就職氷河期(雇入れ日時点の満年齢が35歳以上55歳未満)
  • 就職活動にて正規雇用の機会を逃したなどの理由でキャリアが不十分または未形成
  • 正規雇用に就くことが困難な状態
  • ハローワーク等の紹介により正規雇用労働者として採用

中小企業の場合は60万円が助成されます。

特定求職者雇用開発助成金(生活保護受給者等雇用開発コース)

以下の要件をすべて満たす人を採用すると助成されます。

  • ハローワークまたは地方公共団体において通算して3ヶ月を超えて支援を受けている生活保護受給者や生活困窮者
  • ハローワーク等の紹介により採用
  • 継続して雇用する労働者(雇用保険の一般被保険者)として採用

短期労働者は40万円、短期労働者以外は60万円が支給されます。

トライアル雇用助成金(一般トライアルコース・新型コロナウイルス感染症対応(短時間)トライアルコース)

職業経験不足などが理由で就職が困難な求職者等を、無期雇用契約へ移行することを前提に、一定期間試行雇用(トライアル雇用)を行う事業主に対しての助成です。雇用前にトライアルをすることでミスマッチや早期離職を防ぎつつ、求職者の早期就職の実現や雇用機会の創出を目的としています。

雇用促進助成金

国(厚生労働省)ではなく自治体の助成金です。失業者の早期就職を目的として支給されます。自治体によって実施の有無や期間が異なるため注意しましょう。大阪府の場合は期間内に求職者を新たに採用し、3カ月間雇用した事業主に対して正規雇用1人につき25万円、非正規雇用1人につき12.5万円が支給されます。

ほかにも自治体独自のものや企業などが実施している採用に関する助成金もあります。企業や事業所のある自治体のホームページなどをチェックしてみましょう。

採用に活用できる助成金の申請方法

採用に活用できる助成金の申請方法

助成金を受けるには、正しい方法かつ指定の期限内に申請をしなければいけません。申請方法は助成金によって異なります。ここでは「労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)」の通常助成の申請方法を例に、助成金の申請方法を解説します。

必要書類をそろえる

まず申請に必要な書類をそろえます。種類も多く手間がかかるため、早めに準備をしておきましょう。「労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)」の通常助成なら、以下の書類が必要です。

  • 労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)支給申請書(様式第11号)
  • 再就職援助計画対象労働者証明書(写)または求職活動支援書(写)
  •  雇用契約書(写)または雇入れ通知書(写)など、雇入れ日と期間の定めのない労働者
    として雇用されていることがわかる書類
  • 対象労働者雇用状況等申立書労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)(様式第9号)
  • 雇入れ日から支給申請日までの間の、支給対象者に支払われた賃金が手当ごとに区
    分された賃金台帳等またはその写し
  • 雇入れ日の属する月の出勤簿など
  • 支給要件確認申立書(共通要領様式第1号)
  • その他管轄労働局長が必要と認める書類

期限内にハローワークへ提出

必要書類をそろえたら助成金ごとに定められた期限内に、管轄の労働局長宛にハローワーク経由で書類を提出します。「労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)」の通常助成なら「第1回支給基準日の翌日から起算して2か月以内」に提出しなければいけません。

採用に活用できる助成金の注意点

採用に関するさまざまな助成金は、活用することで採用や雇用に関するコストがカバーできるだけでなく、職場環境やキャリア形成、人手不足解消などさまざまなメリットが受けられます。ただし、助成金を受けるためには覚えておくべき注意点もあります。確実な申請と助成を受けるために覚えておきたいポイントを解説します。

申請までの負担が大きい

助成金を受けるには必要書類の作成や準備、期限内の提出が必要です。さらに助成金によっては「生産性向上のための取り組み」「採用した労働者への配慮」など何らかの取り組みが求められます。申請までの手続きや取り組みが面倒に感じる経営者も多いでしょう。

助成が受けられない場合がある

助成金は補助金と異なり、基本的には要件を満たせばかならず受給できます。ところが以下のようなパターンで助成が受けられない場合があります。

  • 助成のための取り組みができなかった、もしくは不十分だった
  • 該当する従業員が途中で辞めてしまった
  • 該当する従業員を期限を満たす前に解雇した

書類の準備や取り組みなどが無駄になってしまうこともあるため、実際に助成を受けるまでにこまかい要件は確認するようにしましょう。

不正受給は犯罪になる

助成金を受給するために事実と異なる、虚偽の申請をすることは犯罪です。たとえば助成の対象となる従業員を実際は採用していないといったケースや、正社員で採用しなければいけないのにアルバイトで採用した事実とは異なる内容の記載は虚偽の申請にあたります。

申請内容を偽って申請をすると、書類を偽造し公金を詐取する行為として詐欺罪にあたります。虚偽申請によって受給した助成金の全額返金はもちろん、以後3年間すべての雇用・労働分野の助成金の支給が受けられなくなります。不正受給や虚偽申請が発覚すると、企業としての信頼が落ちるリスクもあるので絶対にやめましょう。

助成金以外の採用活動を成功させるためのポイント

助成金以外の採用活動を成功させるためのポイント

助成金は採用活動資金収集の手段として心強い味方となりますが、助成金を受給しただけで採用活動が成功するとは限りません。助成金の申請とともにふまえておきたい、採用活動を成功させるための取り組みやポイントを解説します。

採用戦略

自社が求める人材からの応募を集めるために行われるのが、採用戦略です。採用戦略には求人広告を認知させるための採用広告の出向や採用サイトの制作、SNSなども活用した採用ブランディングなど多くの手法があります。

採用活動は求める人材、採用の目的、コストなどをふまえて適切な手法を行わなければいけません。そのために採用戦略として多くの施策を行います。採用戦略に失敗すると、応募者が集まらない、ミスマッチによる早期離職が続くなどの原因となります。

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採用後の育成やフォロー

無事に採用活動が進み、新しい人材を採用したあとは社内での育成やフォローが必要です。研修や面談などで適切な教育とフォローをすることで、長期的に活躍する人材の定着につながります。育成計画やフォローの頻度、スケジュールなど採用後のこともあらかじめ決めておきましょう。

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助成金から採用活動、採用後の教育までまとめてサポート!「まるごとバックオフィス」

自社の採用に合う助成金の案内や申請までのフォローを「まるごとバックオフィス」では提供しています。助成金のタイミングを逃さず、スムーズな申請につながるでしょう。さらに助成金申請に関する面倒な手続きも代行可能です。

助成金に関することだけでなく、採用活動、採用後の教育までまとめてサポートが受けられます。「応募者が集まらない」「採用サイトが作れない」「採用活動の進捗管理が面倒」「その後の育成ができない」など悩みに応じた依頼が可能です。採用業務をまるごと依頼もできますので、企業の採用に関する悩みや課題解決にぜひご活用ください。

まとめ

まとめ

採用に関する補助金・助成金の種類や申請方法、注意点などを解説しました。採用に関する助成金は数多くあり、いずれも定められた期間に正しい方法で申請をしないと受給ができません。またこまめに助成金の情報収集をしないと、自社に合う助成金の申請タイミングを逃してしまうこともあるでしょう。助成金はもちろん、採用活動を成功させるには採用戦略や採用後のフォローなども必要です。外部への代行なども検討し、効率的かつ効果的な採用につなげましょう。

記事の監修者

【中小企業バックオフィス体制づくりのプロ】

株式会社バックオフィス・ディレクション 代表取締役 稲葉 光俊

中央大学経済学部経済学研究科(大学院)卒業後、事業会社にて管理部門のマネージャーとして株式公開(上場)準備作業を経験。 中小企業の成長に欠かせないバックオフィス部門(総務、労務、人事、経理、財務、法務、広報等)を責任者として統括し、事業会社の社内整備と仕組みづくりを行う。 2022年株式会社バックオフィス・ディレクションを設立し、地方中小企業を対象としたバックオフィス強化のためのコンサルティングやクラウドを活用したDX化および業務アウトソーシングを主にしたサービスを提供し、伴走型支援に力を入れている。