事務マニュアルのわかりやすい作り方とは?作り方や活用方法を解説!

事務マニュアルのわかりやすい作り方とは?作り方や活用方法を解説!

毎日発生する事務作業や業務の量に悩んでいませんか。事務マニュアルの作成により、され、多くの従業員が業務を担当できるようになります。その結果、属人化の解消や作業負担の軽減や質の向上にも期待できます。事務マニュアルがもたらすメリットとともに、作成方法や作成後の活用方法を解説します。

事務マニュアルがあると得られるメリット

事務マニュアルがあると得られるメリット

事務マニュアルとは、事務で発生する作業や業務の流れ、判断基準を記載した手順書を指します。事務マニュアルを作成することで得られるメリットについて、事務マニュアルがないことで起きるデメリットを解説します。

均一化による業務効率化

事務マニュアルによってもっとも効率的な業務方法に均一化できるため、業務の生産性の改善につながります。事務マニュアルがないと、従業員によってやり方や成果にばらつきが出てしまうため非効率です。

属人化の防止

事務マニュアルを作成することで、マニュアルに記載されている事務に関する業務を、業務経験の長短に左右されず多くの人が担当できるようになります。事務マニュアルがないと事務業務を行える従業員が限定されてしまい属人化につながるでしょう。属人化すると担当者が休みづらくなる、業務内容の質が低下するなどのリスクが生じてしまいます。

スムーズな育成や引継ぎの実現

新入社員を採用したとき、前任者の退職や異動で引継ぎが発生したとき、事務マニュアルがあれば事務のノウハウや効率の良いやり方をすぐに伝授できます。一度事務担当者が抜けたことで生産性が下がっても、事務マニュアルがあれば早期に問題解決できます。事務マニュアルがないと、前任者と同じスキルや能力を身に着けるための育成や引継ぎに時間がかかってしまいます。

事務マニュアル作成前に覚えておきたいポイント

作成した事務マニュアルを最大限活用するために、失敗しない事務マニュアル作成で覚えておきたいポイントを解説します。

「選択型」「単純型」業務をマニュアル化する

すべての事務に関する業務をマニュアル化しようとすると、マニュアル作成が難しい、または作成することが大きな負担となり、本業への支障が出る可能性が高いです。また業務内容によってはマニュアル化をせず、経験や知識を蓄積したうえで能力を磨いていく「感覚型業務」もあります。感覚型業務に関する能力はマニュアルではなく実務経験から育んでいくため、マニュアル化は避けましょう。

事務のなかでも一定のパターンを選んで業務を進める「選択型」、誰がやっても同じ成果が出せる「単純型」の業務のなかから、マニュアル化する業務を選ぶことで、マニュアル化する業務の洗い出しができます。

紙面でのマニュアルは避ける

事務マニュアルを作成する場合、紙面マニュアルとデータマニュアルいずれかの選択肢があります。データマニュアルにすることで以下のメリットが得られるでしょう。

  • 改善や検索がかんたんにできる
  • 図や画像の挿入など柔軟な編集ができる
  • 保管場所を取らず管理しやすい
  • 供給しやすくリモートワークにも活用できる

特別な理由がなければ、データでのマニュアル作成を前提とするのがおすすめです。

基本のマニュアル形式を統一する

マニュアルの形式を統一しておくと、後の改善や更新、項目の検索がスムーズにできます。データマニュアルの場合はWordやExcelなどのファイル形式を統一しておきましょう。また、業務内容によっては動画のほうが手順を整理して説明しやすくなるため、動画でのマニュアル作成も検討してみましょう。

マニュアル作成と運用改善のための負担を考慮する

事務マニュアルを作成するには、多くの時間がかかります。社内で作成する場合には担当者の業務負担も大きくなり、本業を圧迫する可能性があります。経営者自らが作成しようとする場合も同様です。

さらにマニュアルに新しい内容を記載したいときや、記載の内容を変更したいときなどは更新や改善作業が必要になります。マニュアル作成と、作成後の運用のための稼働負担を考えておきましょう。

事務マニュアルの作成手順と方法

事務マニュアルの作成手順と方法

事務マニュアル作成の流れに沿って、具体的なマニュアルの作成方法を解説します。

マニュアル化する業務を洗い出す

まずマニュアル化する業務の情報を整理します。情報を整理しないままマニュアル化すると作成時間が長くなる、マニュアルが読みにくいなどの原因となります。ここでは、経理事務の選択型・単純型にあたる「支払処理」業務を作成例に挙げながら解説していきます。

マニュアルの骨子を作成する

マニュアルの外枠となる骨子を作成します。事前に骨子を作っておくことで、マニュアル作成の順序が明確になるため、「業務名」「業務の概要」「業務の目的」「業務内容」「手順」「チェックリスト」などの共通する項目を使って骨子を作りましょう。

骨子は複数のマニュアルを作成するときにも活用できます。作成した骨子には、おおまかな作業内容のメモをつけておくと内容を記載するときにもスムーズです。

骨子の作成から使用できる事務マニュアルのテンプレートを公開しているサイトもあるため、活用するとよいでしょう。

内容を時系列で記入する

骨子の作成後、設定した項目ごとに時系列で作業の名前と目的を書き出していきます。

支払処理業務の例:
名前:「支払処理確認票の起票」
目的:「支払処理確認票へ伝票や帳簿の数値を転記する」

目的も一緒に書き出しておくことで、後の判断基準の設定にも活用できます。さらに時系列で書き出すことで、書き漏れ防止や実際の作業で発生する適切なタイミングの把握にも便利です。事務マニュアル作成をする時間の余裕があれば、マニュアル化する業務を実際に進めているときにメモを取っておくと、作業の記入漏れを防げるでしょう。

作業に必要なものを書き出す

該当する業務や作業に必要となる道具やツールを書き出します。たとえば伝票や名簿、資料、計算ツールなどです。所在地や利用方法も具体的に記載しましょう。未経験者が事務マニュアルを使って作業をする可能性もあるため「書かなくてもわかるだろう」ではなく「書かなかったら分からないかもしれない」と未経験者の目線で作成するようにするのが重要です。

作業の並べ替えをする

マニュアルが見やすいように、作業内容の並べ替えをします。

支払処理業務の例:
「支払処理確認票の起票」「支払一覧の作成」「支払一覧の確認」「支払実行」の順にする。

順序が決められている場合にはフロー順に、順序が決まっていない場合には「緊急かつ重要」「緊急だが重要ではない」「重要だが緊急ではない」「重要ではなく緊急でもない」の優先度の高い順にしましょう。

解説や注意点を記載する

効率よく、かつ正確に業務を進めるための解説と注意点を記入します。

支払処理業務の例:
「請求書や納品書、帳簿の数値と照らし合わせる」
「金額、支払日、支払先を確認する」
「入力後、一覧記入欄への押印をする」
「担当者が記入されていればその人に確認してもらう」

多くの情報を乗せすぎると複雑化するため、書きすぎに注意し記載しなくても良い情報は省きましょう。ツールや機器の操作方法は取扱説明書などに記載されているため、マニュアルには記載しません。

ノウハウを記載する

マニュアルにノウハウを記載しておけば、業務の手順と一緒にノウハウも共有できます。

支払処理業務の例:
「●●株式会社は勘定項目が複数なので請求金額表も併せて確認する」
「振込での入金の場合、振込手数料を比較して金融機関を決めること」

ベテランの従業員や優秀な社員のノウハウがあれば記載しておくことで、業務の質の向上や効率化につながるでしょう。

判断基準を示す

作業にかかる目安の時間や合格の基準など、業務の判断基準を明示しましょう。

支払処理業務の例:
「毎月20日までに」
「金曜日15時までに」
「午前中いっぱいを目安に」

判断基準を明示することで、業務を行っている人の業務の成果の均一化や、作業を正しく進められているかの自己判断につながります。

チェックを実施する

マニュアルには社内規則やコンプライアンスなどに準拠した内容とするのも重要です。あらかじめポリシーに関するチェックリストを作成し、都度チェックを実施しましょう。

マニュアルチェックの方法の例:
・簡易マニュアルを配布してチェック後回収
・実物をその場で目視確認

チェックの方法やタイミングなどを事前に決めておくと、チェックフローがスムーズになります。マニュアルがある程度完成したら、簡易マニュアルとしてマニュアル作成の担当者以外の従業員からのチェックを受け、必要に応じて修正や改善を行いつつマニュアルを作り始めましょう。

導入後評価を行う

事務マニュアルが完成し、導入後は現場にヒアリングして状況の確認をします。特に導入直後はこまかい修正や改善が多く発生しやすいので、こまめに評価を行いましょう。その後は定期的な評価と改善、更新を繰り返してマニュアルを運用します。運用後の評価と更新のサイクルと頻度のスケジュールを立てておくのがおすすめです。

事務マニュアル作成の確認ポイント

事務マニュアル作成の確認ポイント

事務マニュアルを作成するとき、および作成後に覚えておきたい確認ポイントを解説します。

通常業務の全体像を把握できるようにする

事務のマニュアルは一読すれば年間スケジュールや1日のおおまかな業務内容など、通常業務の全体像を把握できる内容にしましょう。マニュアル外の突発的なことが起きた場合でも、通常業務と異なるポイントをすぐに理解し、適切な判断や対応ができるからです。

実行期日と見本を入れる

業務内容の詳細を入れるときには、「いつまでに終えるか」「どのように実施するか」の期日と見本の具体的な数字や内容を記載しておきましょう。手順だけでなく期日や見本を記入することで、業務の具体的なイメージをマニュアル上から把握できます。

視覚的に見やすいレイアウトを意識する

見にくい、読みにくいマニュアルは活用されなくなってしまい、マニュアル作成工数が無駄になってしまいます。視覚的に見やすいマニュアルに仕上げるために、以下のようなレイアウトやデザインの工夫を心がけましょう。

  • 作業手順は時系列で示す
  • フォントや文字サイズは統一する
  • チェックリストや箇条書きを活用する

定期的に更新する

作成したマニュアルは定期的に更新します。マニュアルの不備を放置すると業務でミスが頻発するリスクがあるためです。更新や改善がしやすい形式のマニュアルに統一しておくことも必要になります。

事例を蓄積していく

取引先などとのやりとりのメール本文などや、対応した過去の事例などを記載し、蓄積していきましょう。業務内容に事例を併記することで、具体例を見ながら業務を進められるため作業のイメージがわきやすくなります。また、併記する事例は都度追記し、蓄積していくことも重要です。事例で検索できるようにすると、業務上で似たようなケースが発生してもすぐに対応できるようになります。

作成した事務マニュアルの活用方法

完成した事務マニュアルを導入することで、業務上でも多くのメリットが得られます。具体的な事務マニュアルの活用方法を解説します。

属人化の解消

事務マニュアルを活用することで多くの人が同じ品質で対応できるようになります。作業が属人化し、引き継ぎが難しい業務もマニュアルを通して複数の人が対応できるようになれば、属人化の解消につながるでしょう。

他ツールの連携による業務効率化

事務マニュアルを作成することで、事務業務の可視化による業務の効率化にもつながります。さらに事務マニュアルとクラウドツールなどほかのツールを導入することで、さらなる業務の効率化も実現できるでしょう。ツールの導入により、マニュアル化をしていない業務の属人化の解消も期待できます。

アウトソーシングの実現

事務マニュアルは社内だけでなく、社外へ業務を委託するアウトソーシングにも活用できます。事務マニュアルがあることで業務や作業内容を可視化できるようになるため、契約時の認識のずれを防げます。外部へ事務業務を委託したときにも均一的な成果が出せるようになるでしょう。

マニュアル化してアウトソーシングしやすい事務分野には、マニュアルの作成でも紹介した経理のほか、定型・単純型の業務の多い総務や人事なども該当します。

事務マニュアル作成をはじめとした業務効率化サポートなら「まるごとバックオフィス」に

事務マニュアル作成をはじめとした業務効率化サポートなら「まるごとバックオフィス」に

事務マニュアルを作成することで多くのメリットが得られますが、「事務マニュアル作成を自社で行うリソースがない」「具体的な作成方法がわからない」という場合もあるでしょう。事務マニュアル作成に関するお悩み解決は、ぜひ「まるごとバックオフィス」を活用ください。

まるごとバックオフィスでは、事務をはじめとしたさまざまな業務のマニュアル作成のサポートが可能です。業務の内容はもちろん、企業独自で蓄積したノウハウなどを取り入れた、より業務の質の向上にもつながるマニュアルの作成が可能です。

さらに、まるごとバックオフィスではマニュアル化したい事務そのものの外注もできます。マニュアル化はもちろん、目の前の業務負担をなくすためにすぐに委託したいときにもおすすめです。事務業務の負担や人手不足にお悩みの際にもぜひご検討ください。

まとめ

事務マニュアルを作ることで得られるメリットや作成方法、活用方法を解説しました。事務マニュアルを作成することで、業務の効率化や属人化の解消、業務の質の向上などのメリットが得られるだけでなく、業務を外部へ委託しやすくなり、人手不足や業務負担の解消も実現できます。事務マニュアルの作成や労力不足への課題解決が社内では難しい場合は外部の代行サービスを活用するのもおすすめです。事務作業や業務の可視化や定量化を実現し、健全な経営や企業としての組織力向上につなげましょう。

記事の監修者

【中小企業バックオフィス体制づくりのプロ】

株式会社バックオフィス・ディレクション 代表取締役 稲葉 光俊

中央大学経済学部経済学研究科(大学院)卒業後、事業会社にて管理部門のマネージャーとして株式公開(上場)準備作業を経験。 中小企業の成長に欠かせないバックオフィス部門(総務、労務、人事、経理、財務、法務、広報等)を責任者として統括し、事業会社の社内整備と仕組みづくりを行う。 2022年株式会社バックオフィス・ディレクションを設立し、地方中小企業を対象としたバックオフィス強化のためのコンサルティングやクラウドを活用したDX化および業務アウトソーシングを主にしたサービスを提供し、伴走型支援に力を入れている。